住宅ローン減税とふるさと納税ってどんな仕組み?併用できるかどうかや知っておきたい注意ポイントを解説

住宅ローン減税とふるさと納税ってどんな仕組み?併用できるかどうかや知っておきたい注意ポイントを解説

マイホーム購入で多くの方が利用する住宅ローン。毎月、決められた額の返済をしていくことになりますが、その負担を少しでも軽くできるのが住宅ローン減税です。
ただ、節税のために、すでに「ふるさと納税」を利用している方にとっては、「併用したらどうなるの?そもそも併用できるの?といった疑問もあるのではないでしょうか。
これから返済が長く続く住宅ローンですから、それぞれの仕組みや併用可能かどうかを知っておくことは大事です。
今回は、住宅ローン減税とふるさと納税の仕組み、注意しておくべきポイントをお伝えしていきます。
「住宅ローンを使って家を購入したい」とお考えの方は、ぜひご参考ください。

住宅ローン減税とは?住宅ローン控除とは違う?住宅ローン減税の仕組みについて

“住宅ローン減税”のほか、“住宅ローン控除”とも言われているこの制度は、どちらも同じ意味合いがあり、正しくは「住宅借入金等特別控除」です。控除によって税が軽減できることから、「住宅ローン減税」や「住宅ローン控除」と言われています。

住宅ローン減税は金利負担を軽減できるもの

住宅ローンはさまざまな金融機関で取り扱っている商品ですが、どこで借りるにしても「金利」はかかり、実際に借りた金額よりも最終的な支払いは増えてしまいます。
そこで、住宅ローンを使って住宅を購入した人(新築・建売・中古住宅購入)の金利の負担を軽くするために制定されたものが住宅ローン減税です。

住宅ローン減税の仕組み

そもそも所得税は、その年の収入からさまざまな控除をした“所得”をもとに税額が計算されます。控除額が多ければ所得も減り、税金をおさえることにつながります。つまり、住宅ローン減税制度を利用すれば控除額を増やせるため、さらなる節税が可能です。
会社員で給与収入がある場合、毎月のように所得税が天引きされています。ただし、控除の額によって納め過ぎている場合もあります。通常、年末調整でそれを計算して還付される仕組みです。
また、住宅ローンで家を買った人は、残高に応じた控除が宅ローン減税で手続きすることで後から“還付”されます。住宅ローンは、月々の返済により、だんだん残高が減っていきます。そこで、年末時点の残高に応じ、0.7%をかけた金額を年間所得から控除することができるのです。
控除額が大きくて所得税から控除しきれなければ、住民税からも控除され税負担を軽くすることが可能です。

ふるさと納税の仕組みについて

ふるさと納税は、自分で任意で選ぶさまざまな自治体に寄付金として納税する制度です。寄付金の額次第で返礼品が受け取れるうえ、税金控除にもなるので多くの人が利用しています。
ふるさと納税で寄付した金額のなかで「2,000円」を超えた部分が所得税の還付・住民税の控除の対象です。
たとえば、「ふるさと納税で45,000円寄付した」というケースでは、「43,000円」が控除額にできます。

住宅ローン減税、ふるさと納税のどちらも併用して“減税”ができる?

住宅ローン減税もふるさと納税も、両方を上手に使ってできるだけ多く節税したいものですよね。
併用は可能なのでしょうか?
住宅ローン減税とふるさと納税は、どちらも併用して減税につなげることは可能です。ただし、併用した場合、影響を受けるケースがあります。

併用することで起こる影響とは

ふるさと納税を利用した場合、寄附金受領証明書が後から送られてきます。確定申告の場合、それを添付して控除を適用することになりますが、「住宅ローン減税+ふるさと納税」の両方を申請すると、ふるさと納税の控除の方が優先して計算されることに。
つまり、本当は住宅ローン控除できるはずだった部分が控除対象とならない可能性もあるのです。
そういった影響をなくすために利用したいのがワンストップ特例制度です。

ワンストップ特例制度って?

ふるさと納税をしたくても「確定申告の手続きが面倒・よく分からない」という方も多いでしょう。ワンストップ特例制度は、そういった難しさを緩和し、簡単にふるさと納税ができるようにした特例制度です。
「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を寄付先の自治体に直接送付することで確定申告は不要となります。必要事項を記入した書類を郵送するだけですから、手続きも特に難しいことはありません。また、確定申告をした場合、「所得税・住民税からの控除」だったものが、ワンストップ特例制度を使った場合、「住民税の方だけの控除」となります。つまり、住宅ローン減税と併用しても“ロス部分”が発生しづらい方法です。

郵便ポストに封筒を入れる若い女性の手元

住宅ローン減税の注意ポイント

住宅ローン減税もふるさと納税も上手に使えば節税可能です。ただ、注意しなければならないポイントもあります。

マイホーム購入の翌年は確定申告を

住宅ローン減税は、住宅ローンを借りたからと言って自動的に減税になるわけではありません。前提として手続きが必要です。
会社員として給与を得ている人の場合、ふだんは確定申告をする習慣があまりないかもしれません。しかし、確定申告をしなければ減税されることがないため注意が必要です。住宅ローンを使って家を購入したら、翌年の確定申告は忘れないようにしましょう。会社員の人は、2年目からは年末調整で行うことができます。
また、控除できる期間は「新築住宅購入⇒13年間」「中古住宅⇒10年間」です。

ワンストップ特例制度が利用できないケースもある

ふるさと納税のワンストップ特例制度は便利ですが、利用できないケースもあります。

・給与を2箇所以上から受け取っている人

・個人事業主で毎年確定申告をしている人(年末調整がないから)

は、確定申告によりふるさと納税の控除を受けましょう。
また、ワンストップ特例制度は、住宅ローン減税の1年目には利用できません。住宅購入の翌年(1年目)は、「住宅ローン減税」「ふるさと納税」のどちらも確定申告で手続きを行いましょう。

まとめ

住宅ローンを使って家を買ったときは翌年に確定申告を忘れないようにしましょう。払い過ぎていた所得税があれば、控除額に応じた還付金を受け取ることもできます。
また、ふるさと納税も住宅ローン減税と併用が可能です。
税金の控除となるのはどのくらいの額かについては、ご自身の収入や住宅ローンの残高、前もって納めていた所得税、ほかの控除額などで異なります。住宅ローン減税は、住宅ローンでマイホーム購入をした人の多くが上手に活用している制度です。
「手続きが難しそう…」「仕組みがよく分からない」といったケースもあるかもしれませんが、せっかくのオトクな制度。家計の負担を減らせるように、上手に活用しましょう。